学習障害は、読み書き計算といった簡単な分野で理解に支障をきたす脳の機能障害を指しますが、計算だけ苦手でほかは特に問題ない場合など、日常生活を送るうえで何ら問題ない人であっても、部分的な学習障害を抱えるケースもあります。
一方、自閉症やアスペルガーなど、ほかの障害と併存するケースも珍しくありません。ただし、脳の機能障害といっても、CTやMRIで検査しても異常が認められるわけではなく、これまでは単なる個性や怠慢として片付けられてしまうこともよくありました。

看護師は、患者に問診をしたりカウンセリングを行ったりする中で、学習障害の患者と接することもあります。特に、障害者施設で働く看護師は、日常的に接する場面が多くなるでしょう。
学習障害を抱える人が通常の説明では理解できないこともある、という事実をふまえて診療のサポートをすることが求められます。

学習障害を抱えた人は、社会性や運動能力のほか、集中力に困難が生じることもあります。また、学習障害と似た症状を起こすものとして、脳梗塞や脳腫瘍が原因となるものもあれば、ADHDと呼ばれる注意欠陥多動性障害や広汎性発達障害の場合もあるので、気付いた点を精神科医や臨床心理士に報告して正しい見極めをすることが必要です。
障害者施設では、医師が常駐しているわけではないため、主に看護師が学習障害を抱えた人の対応に当たることになり、学習障害について正確な知識を持つことが欠かせません。
どのように学習障害のある患者と向き合っていけばよいのか、看護師としてできることを探り、少しでも安心して生活を送れるようにサポートしていくことが大切です。